同じクラスで学んでいても、
「覚えるのが早い子」
と
「なかなか覚えられない子」
がいます。
その違いを見ると、多くの人は知識量の差を思い浮かべるかもしれません。
しかし私は、少し違う見方もできるのではないかと思っています。
例えば、100個の知識があるとします。
学び始めたばかりの子供にとっては、その100個は100個のままです。
一つ一つが別々の知識として存在しています。
だから新しいことを学ぶたびに、覚えるものが増えていく感覚になります。
ところが、学力が高くなるにつれて変化が起こります。
その人たちは、知識をそのまま覚えているわけではありません。
共通点や相違点を見付けながら整理しています。
割合、速さ、濃度、比。
一見すると別々の単元ですが、
「二つの量の関係を考える問題」
という共通点が見えてくると、一つの考え方としてまとまり始めます。
歴史でも同じです。
出来事を一つずつ覚えるだけではなく、
「なぜ変化したのか」
「何が共通しているのか」
という視点で見ることで整理されていきます。
すると100個あった知識が、
50個になり、
20個になり、
やがてもっと少ない考え方へとまとまっていきます。
もちろん知識が減るわけではありません。
頭の中で整理され、見通しが良くなっているのです。
私はこれを、
「世界を圧縮する力」
と考えています。
実際、学習指導要領でも、共通点や相違点に着目して考えることは、思考力・判断力・表現力等を育てる上で大切な視点として位置付けられています。
学力とは、知識を増やすことだけではありません。
知識同士のつながりを見付け、自分なりに整理していくことでもあります。
だから本当に賢い人ほど、多くのことを知っているだけではなく、多くのことをシンプルに理解できるのかもしれません。
シリーズまとめ
このシリーズでは、
- 「数学は暗記だ!」という言葉の意味
- 違うものの中に同じものを見つける力
- 世界を圧縮するように学ぶ姿
について考えてきました。
私は、学力とは単なる知識量ではないと思っています。
共通点や相違点を見付けながら、知識を整理し、つなげていく。
その積み重ねによって、世界の見え方そのものが変わっていく。
本当に賢い人は、たくさん覚えている人ではなく、多くのことを関連付けて理解している人なのかもしれません。

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