前回、私は「体調管理」という言葉に少し違和感があるという話を書きました。
もちろん、睡眠や食事を整えることは大切です。
ただ、その言葉の奥には、
「管理すれば良い状態を保てる」
という考え方が隠れているように感じるのです。
今日は、受験期に管理できるものと、管理できないものについて考えてみたいと思います。
受験が近付くと、多くのご家庭で意識することがあります。
睡眠時間。
食事の内容。
体温。
感染症対策。
どれも大切なものです。
そして、これらは比較的「管理しやすいもの」でもあります。
何時に寝たかは分かります。
朝ごはんを食べたかも確認できます。
体温だって測れます。
だから私たちは、ついそこに意識を向けます。
数字で見えるからです。
ところが、受験期の子どもたちを見ていると、それだけではないことに気付きます。
ある子は、普段より口数が少なくなります。
ある子は、小さなことでイライラします。
ある子は、急に忘れ物が増えます。
ある子は、これまで簡単にできていたことを嫌がるようになります。
保護者からすると、
「最近どうしたんだろう」
と思うような変化です。
しかし、その背景には受験への不安や緊張が隠れていることがあります。
考えてみれば当然です。
大人だって大事なプレゼンや面接の前には緊張します。
落ち着かなくなります。
集中できなくなることもあります。
それなのに、小学生だけが平気でいられるはずはありません。
しかも子どもたちは、
「不安です」
「プレッシャーを感じています」
と上手に言葉で表現できるとは限りません。
だから気持ちの変化が、
態度や行動として表れることがあるのです。
こうしたものは管理できません。
不安をゼロにすることはできません。
緊張を消し去ることもできません。
プレッシャーから完全に守ることも難しいでしょう。
けれど、気付くことはできます。
今日は少し元気がないな。
最近、よくため息をついているな。
何か気になることがあるのかな。
そんな視点を持つことはできます。
私は受験期の保護者に必要なのは、管理する力よりも観察する力だと思っています。
睡眠時間を確認することも大切です。
体温を測ることも大切です。
でも、それと同じくらい、
子どもの表情を見ること。
声の大きさを聞くこと。
いつもとの違いに気付くこと。
それが大切なのではないでしょうか。
数字は見やすいものです。
だからつい頼りたくなります。
けれど、子どもの心の動きは数字にはなりません。
だからこそ、
見ようとしなければ見えないのです。
大人に必要なのは、
子どもを管理することではなく、
子どもの変化に気付くこと。
私は受験期だからこそ、その視点を大切にしたいと思っています。
次回予告
最高の体調とは、風邪をひいていない状態のことでしょうか。
もしかすると、試験当日に力を発揮するために必要なのは、特別な管理ではなく「いつも通りの日常」なのかもしれません。
次回は「最高の体調は『いつも通り』の中にある」をテーマに考えてみたいと思います。

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